ZOOMS 2019 受賞者 パリツアーレポート

2019年11月、ZOOMS JAPAN4回目の受賞者となる高木良さんサトウヒトミさんがパリを訪れ、CP+およびこのフォトアワードの連携イベントである“Salon de la Photo”(サロン・ドゥ・ラ・フォト)で写真展示やトークショーを実施しました。街が芸術で賑わう11月のパリで、受賞者の2人が体験した貴重な経験の一部をレポートします。
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Salon de la PHOTO
写真展示/ギャラリートーク

11/7~11の5日間、“パリのCP+”ことSalon de la Photoではフランス版“Zooms”の受賞者2名の作品と合わせて合同展示が実現。初日の夕方には会場内イベントスペースにてトークショーを実施し、多くの一般客とプレスが日仏受賞者と審査員のクロストークに耳を傾けました。受賞者のおふたりはパリのたくさんの写真ファンに作品を見てもらう絶好の機会を得ることができました。

Salon de la Photo入口で記念撮影

日仏の受賞者・審査員によるトークショー

Les ZoomsとZOOMS JAPANの合同展示

今年のSalon de la Photoのキービジュアルを撮影した野中 玲子氏

会場の冊子表紙をサトウさんの受賞作品が飾りました。

アートディレクターによるレビューも

PARIS PHOTOほか
写真関連イベント

11月のパリは毎年街じゅうで写真イベントが開催されており、受賞者2人はさまざまなイベントを体験。来年の4月にはニューヨークで開催される世界最大の本の見本市PARIS PHOTOや、ルーブル美術館のふもとで実施されるフォトフェアfotofever、セーヌ川に係留された船上で行われる写真系出版社が出展するフォトブックイベントPolycopiesなど、パリ市内で行われる様々な写真関連イベントを訪れ、さまざまな人に出会い、写真家としても大きな刺激を受けたようです。

PARIS PHOTO会場入り口と賑わう会場内の様子

PARIS PHOTOの展示作品からインスピレーションを受ける高木さん

セーヌ川に係留する船で行われるアートブックフェアpolycopiesにて

polycopies会場で出展者とコミュニケーションするサトウさん

ストリートスナップが得意なサトウさんによる作品づくりの裏側

世界から様々なジャンルの写真が集まるfotofever

ヨーロッパ写真美術館ほか
ギャラリー/ポートフォリオレビュー

ヨーロッパ写真美術館ではモロッコ出身のアーティスト/写真家、ハッサン・ハッジャージュの展示を訪問。地元の伝統とハイファッションをベースに、身近なものをポップに組み合わせる手法から「モロッコのアンディ・ウォーホル」とも呼ばれているとか。カラフルで奇抜な作品が多く、さまざまな文化を軽やかにミックスする作者独特の審美眼が感じられます。受賞者のふたりもキュレーターのナビゲートに耳を傾け、彼の生い立ちや撮影秘話に聞き入っていました。またギャルリ・ティエリー・ビゲニョン(Galerie Thierry Bigaignon)では、アーティスト/写真家のビットーリア・ジェラルディによる「POMPEII」を鑑賞。ポンペイ遺跡を撮影した写真に石膏を吹きつけるなどの手法や、遺跡に埋もれてしまった遺物を象徴するようなインスタレーションまで、写真を軸にしたさまざまな芸術表現が実践されていました。単なる写真ではないアートとしての写真を拡張する試みに触れ、受賞者のふたりも大きな刺激を受けたようです。

エイドリアン・ボンディのギャラリーでは、ポートフォリオレビューを受け貴重な経験をすることができました。 パリを拠点に活躍する前衛派セルフポートレートアーティスト、ヨシダキミコ氏のギャラリーを訪問。全ての作品をデジタル加工せず、構図、主題、ライティングを変えずに撮影されるセルフポートレートの話から、アーティストとして世界中で活躍する今に至るまでの話を伺い、2人も作品制作意欲をかき立てられていました。

ヨーロッパ写真美術館

Adrian Bondy氏によるポートフォリオレビュー

ハッサン・ハッジャージュ氏の作品の前にて

作品の背景を説明するヨシダキミコ氏

ビットーリア・ジェラルディ氏の作品制作現場の様子

受賞者のコメント

高木 良さん

今回のパリツアーではポートフォリオレビューをはじめ、パリフォトやギャラリー、さらにはアーティストのスタジオまで訪問させていただき、とても良い刺激を受けました。ポートフォリオレビューでは何が足りないのかを発見でき、写真の奥深さを感じると同時に、いままで写真というメディアにとらわれがちだった自分を解放してもらえたようにおもいます。フランスでは社会性のある作品がとても強い力を持っている事も興味深かったです。また絵画や彫刻はもちろん写真芸術市場の大きさや、一般の人々の写真への関心度の高さにも驚きました。
数日ではありましたが様々なことを学べたとても素晴らしいツアーでした。企画してくださった、CP+の皆様にはとても感謝しております。

サトウヒトミさん

昨年、受賞を知らされてから、パリに本当に行かれるのか信じられないような気持ちでしたが、ポートフォリオ制作で試行錯誤を繰り返しながらの一年はあっという間でした。salon de la photoの会場の真ん中で、作品が展示されていることで胸がいっぱいになり、さらに、会場のカタログの表紙に写真が採用されていたのを見た時には、驚きで息が止まりそうになりました。
パリフォトツアーでは、世界の写真の流れを見ると同時に、会場に来る人々の写真に対する熱を目の当たりにして、これが海外での写真の捉えられ方なのだなと感じ、コンセプチュアルであること、自分の写真を言葉で語れることの大切さを思い知らされました。
ポートフォリオレビューや、パリ在住のアーティスト、ヨシダさんのお話しも大いに刺激になり、これからの活動に思いを膨らませています。CP+の皆様のご尽力に、心から感謝しております。ありがとうございました!

写真イベントが目白押しの11月のパリツアーは、受賞者2人にとって、写真家として更なる飛躍の原動力と貴重な出会いにつながったのではないでしょうか。
CP+は高木 良さん、サトウヒトミさんの今後の活動を引き続き応援していきます!