ZOOMS JAPAN

ZOOMS JAPAN 2021 受賞作品

エディター賞

作者名夢無子
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作品名「生きとし 生けるもの」

〈プロフィール〉
映像制作会社に勤務、様々なアーティストたちと親交を深めていく中で、自分で何かを表現したい衝動にかられ、アーティストとして活動することを決意。40を超える国々で旅を続けながら、世界の関わりと自らの表現を模索している。



5年前の私は、平和でなんだか能天気な東京で、自分の労力と時間を消費し、辟易しながら毎日を過ごしていた。満ち足りているようにみえて、何かが足りない気がしていた。
何かがわからないまま、思い立って世界放浪の旅に出た。まずはアルゼンチンに向かい、そこから少しずつ北に向かった。行く先々で仕事をもらい、対価の代わりに食事と寝場所を確保した。今まで体験したことない社会、文化に入り込んでみたかった。生きている感覚を失っていた自分が、ちょっとずつ何かに満たされてきた。出会うもの全てが、圧倒的な生命力を放っていた。

今年、世界中が暴れだした。
オーストラリアの森林火災から始まり、コロナのパンデミック、さらには、香港、アメリカ、タイなどでは次々とデモが起こった。このコロナ禍において、いままでのエリート社会に対する憧れや欲求は減っていき、社会の歯車の一部としての「個」は、もはや意味をもたなくなってきた。これからは、自分が「核(コア)」を持って生きていかないと流されてしまいそうだ。自分を客観的に見つめ、自分を知ること。案外、目を背けたくなる行為だが、ちゃんと向き合っていかないと、自分が自分でなくなってしまいそうだ。

これからも、この世界を生きていく。
自分の核は、そう簡単にはみつからないかもしれない。
それでも、探し続け、生き続ける。
風の前の塵のように、吹かれながら、彷徨いながら。

パブリック賞

作者名マネークリッパー吉沢
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作品名「違和感」

〈プロフィール〉
鹿児島出身・東京都在住のウェディングフォトグラファーとして活動。
普段は趣味で撮った写真をSNSへ投稿しております。
幼少期からの趣味である、絵を描く延長で写真を撮っており
自分の日常の目線を、ミニマル系の写真へと落とし込んだ作品が多いです。



日常に溢れる違和感に惹かれます。
小さい頃 同級生やテレビで聞いた怪談話にワクワクしたように、自分の今ある日常の中にひっそりと隠れる違和感に惹かれます。
この自分の見ているワクワクを、他人にも共有できるのが写真だと思っています。この写真を、私の目線を見て、皆さんにも童心に返ったような気持ちになってもらえたら嬉しいです。

エディター賞

作者名田島 朋樹
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作品名「Portrait / Flat」

〈プロフィール〉
佐賀県出身。東京工業大学 大学院にて生体研究を専攻し卒業。人の細胞の構造解明により学会賞を受賞。その後、興味が写真に移り、現代写真研究所、夜の写真学校を卒業。現在、研究者の背景を活かしたアプローチで製作活動中



本作品は、人間と風景を対象とし、それぞれの持つポテンシャルのみを抽出し融合させることで、新たなポートレート像を創出したものです。
具体的なプロセスは下記の4点です。
(1) 複数の要素を持つ人間/風景をセレクトすること
(2) 対象から可能な限りの不純物を取り除くこと
(3) 私自身の手で対象の再構築を行うこと
(4) 親和性の高い環境に配置すること
以上のプロセスを、人間と風景に同様に実施することで、それぞれの持つ力を更に上回る、鮮烈なイメージを作り出すことに成功したと考えています。

パブリック賞

作者名大杉 隼平
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作品名「旅をする、日常の中。色褪せることのない記憶を頼りに。」

〈プロフィール〉
1982年東京生まれ。ロンドンで写真とアートを学ぶ。
帰国後、雑誌、広告、TV、カタログ、コンサート、宣材、アーティスト写真などで活動。
また写真を使い様々な企業のプロモーション、コラボレーションなども行う。
ライフワークとして「日常」「旅」をテーマに毎年写真展を開催している。



「旅をする、日常の中。色褪せることのない記憶を頼りに」

あたりまえにあると思っていた日々。
大切な人を失った時、その時間がいかに大切で儚いものだったのかを感じました。

「日常にある一瞬」共に歩いた場所。昔と変わらずに降っていた雨。そしてこれから一緒に見たかった景色。

ただそこにいること。そのひとつひとつを記憶したいと思いました。

ふとした瞬間に見える様々な表情。そこに感じる仔まい。
時に辛かった気持ち。喜びを与えてくれた瞬間。

写すことはどこか自分自身の想いを重ねることのように感じます。

見えるものの向こう側になにがあるのかを知りたいと思いました。

写真を見て背景を想像できたり、何かを感じる事ができる写真を撮りたいと思っています。
積み重ねた時間の中でたった一瞬であったとしてもどう向き合うかはとても大切なことだと考えています。

写真はいつも大切なことを教えてくれます。

これからも撮り続けていきたいと思います。